2012-05-18 10:00
その他
カンヌ映画祭でグランプリを獲得した「ゴモラ」の監督、ナポリの犯罪組織に賄賂を渡した?

贈収賄疑惑
マッテオ・ガローネ監督が、「ゴモラ」(2008)を撮影時にナポリの犯罪組織カモッラに2万ユーロを払った疑いがあると、5月16日付けのLaPresseが伝えた。カモッラの一員であったオレステ・スパニュオーロによると、カステル・ヴォルトゥルノ地区で「ゴモラ」の撮影隊が映画を撮影する許可を得るために、ガローネ監督が、カサレシ一家に総額2万ユーロを払ったという。
ガローネ監督は、アレッサンドロ・チリッロを通じて、カサレシ一家の殺人実行の長であるジュセッペ・セトラに2万ユーロを渡したらしい。ガローネ監督は、5月14日にこの贈収賄疑惑を調査している司法官から証人として尋問されている。
ガローネ監督は、Repubblica.it上で、
「私は、全く金の出入りに関係がない。監督は、撮影しないといけない作品のことを考える。映画にしなければならない事柄を考え、その他の事は知らない。その他の事は、製作サイドが行うことだ。」
と語る。なお、ガローネ監督は、金銭のやり取りは否定しているがアレッサンドロ・チリッロに会ったことは認めている。
「ゴモラ」の出演者が逮捕
また、「ゴモラ」で重要な役どころを演じた5人の出演者が、当局によって逮捕されている。5人の中で一番最後に逮捕されたニコラ・バッタリアは、映画でファミリーに入れてもらうために「度胸を見せる儀式」を受けた若者の1人を演じた。そして、他の逮捕者であるジョバンニ・ヴェノーサは、赤い髪の若いボスを演じていた。ヴェノーサの逮捕時に代議士のマウリツィオ・ガスパッリは、
「ゴモラが価値ある映画であることは疑いようがない。だが映画が、犯罪組織に資金供与していた事実が暴かれだしている。シビアな現実を映画が映し出さなければいけなかったのは分かるが、犯罪者を出演させる必要が本当にあっただろうか。」
と疑問を呈している。
なお、「ゴモラ」の原作者であるロベルト・サヴィアーノは、カモッラから命を狙われており、常に危険の中に身を置きながら生活している。
ガローネ監督の新作「Reality」とカンヌ国際映画祭
ガローネ監督は、5月15日に新作「Reality」が出品されているカンヌ国際映画祭のためにフランスへ向かった。ガローネ監督は、怒りをあらわにする。「この問題は、少なくとも3ヵ月か4ヵ月前からあった。なのに、なぜ今この時期にこの問題を取り上げる?なぜ、私が、自分の映画をカンヌに出品したちょうどこの時に騒ぎ出す?」
この贈収賄疑惑は、今度どういう展開を示すだろうか。
【Izumi】
外部リンク
LaPresse
http://www.lapresse.it/spettacolo/garrone-su-presunti-fondi-a-casalesi-per-gomorra-non-c-entro-nulla-1.163116
Repubblica.it
http://napoli.repubblica.it/cronaca/2012/05/15/news/garrone_non_c_entro_questa_storia_esce_mentre_vado_a_cannes-35173504/
ゴモラ 公式サイト
http://www.eiganokuni.com/gomorra/
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